東京地方裁判所 昭和42年(ワ)7402号・昭42年(ワ)4699号 判決
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〔判決理由〕第一 本訴について
一、昭和四二年二月一一日午前七時五分頃茨城県稲敷郡牛久町遠山七七番地先国道六号線(以下本件道路という)上において原告車(編注セドリックカスタム)と被告車(編注ブルーバード)が衝突し、<中略>原告八郎、同てる子、同和子、同孝二、同美恵子、同清水まさ子が負傷したこと、被告が被告車を自己のため運行の用に供していたことは当事者間に争いがない。
二、<証拠>によれば、次の事実が認められる。
(イ) 本件道路は南北に通る幅員10.35米のアスファルト舗装の平坦な道路である。当日降雪のため右道路のいずれも道路端から西側に幅二米、東側に幅1.8米、高さ0.3米位の積雪があり、右積雪部分の車両通行は困難であつたので、車両通行可能の道路幅は約6.5米であつたが、路上は凍つて滑り易い状態で、事故現場附近は南に向つて右にゆるやかなカーブとなつているため見通しは良くない。
(ロ) 被告は被告車を運転し本件道路を南方に向つて進行中先行する大型貨物自動車を追越しにかかり、事故地点の手前約一五〇米位の地点から右大型貨物自動車の右側にで、センターラインを超え、時速約四〇ないし四五粁で大型貨物自動車と並進状態で進行し左側に入ろうとしたが入りきれないうちに、対向車線を進行して来た原告車を発見し、左にハンドルを切つたが及ばず、センターラインを完全に超えた地点で原告車と衝突した。
(ハ) 原告八郎は原告車を運転し、本件道路を北方に向つて時速約三〇粁進行し、前方約一一〇米前方にセンターラインを超えて追越をして来る被告車を発見したが、被告車が衝突するにいたる前に追越を完了しその車線に入るものと思い、さらに路上が氷つていたためスリップすることをおそれ軽くブレーキをふんだだけで、さらに道路の左側に積雪があつたためさらに左ヘハドンルを切ることもできないままに進行したところ、原告車線で被告車と衝突した。
右認定事実によれば、被告は先行する大型貨物自動車を追越すにあたり前方に対する十分の注意を払うことなくセンターラインを越えた過失があることは明らかである。一方原告八郎には本件道路状況よりみると、さらに急ブレーキをふむことは困難であり、さらに道路左側に積雪があつたのであるから左へ避譲することも困難であつたものというべきであるので、運転上の過失を認めることはできない。
第二 反訴について
本件事故の態様および本件事故につき原告に運転上の過失が認められないこと、第一本訴について、二において判断したとおりであるので、原告は被告に対し民法七〇九条に基く賠償義務がない。被告の反訴請求が人的損害について自賠法三条によるものとも解釈される。そうだとすれば原告についても同条但書による免責の主張が暗黙になされているものと解されるのでこの点につき判断する。本件被告は原告に運転上の過失は認められず、被告の過失によるものであることは前示のとおりであり、<証拠>によれば原告車には構造上および機能上に欠陥がなかつたことが認められるので、同法第三条但書により原告は免責されることになる。(荒井真治)